イボ(疣贅:ゆうぜい)
イボ(疣贅:ゆうぜい)とは、どういう病気?
イボは、ヒト乳頭腫ウイルス (HPV) によってできる良性の病気です。イボは、手、指、足の裏などに発生し、ザラザラした表面の盛り上がりが特徴です。伝染性で、イボを直接触ったりHPVがついたものを触って広がる可能性があります。
イボになりやすい人は?
イボは誰にでもできる可能性がありますが、特定の状況により、かかりやすくなります。
- 子供と十代の若者: 免疫システムがまだ発達途上にあるため、HPVに感染しやすい傾向にあります。
- 免疫力が低下している人: 免疫不全の病気、化学療法を受けている人、免疫抑制剤を服用している臓器移植患者さんなど、免疫力が低下している人はリスクが高くなります。
- 皮ふにキズのある人: 切りキズ、擦りキズなど、皮ふにキズがあると、ウイルスが侵入しやすくなり、イボが発生しやすくなります。
- HPVに頻繁に接触する人: 共同シャワー、スイミングプール、ジムを利用する人はウイルスに接触する可能性が高くなります。
- 爪噛みや甘皮剥ぎ: これらの習慣により、爪の周囲に小さな切り傷や擦り傷ができ、HPVの侵入口となる可能性があります。
- 家族歴のある人: 遺伝的素因のためイボが生じやすい人もいます。
イボの症状とは?
- 皮ふの小さな盛り上がり: 皮ふが盛り上がり、表面はザラザラした感じになる場合があります。
- 灰色、茶色、または肌色の外観: イボの色は、灰色や茶色から周囲の皮ふと同じ肌色までさまざまです。
- 黒い点々: イボの中に小さな黒い点々が見られることがあります。実際には小さな凝固した血管です。
- 硬い質感: イボは触ると周囲の皮膚よりも硬い傾向があります。
- 場所: イボは、手足、指、膝、肘に現れることが多いですが、体のどこにでも発生する可能性があります。
- クラスター形成: イボは一個または複数が集まったクラスターとして現れることがあります。密集すると、粗いモザイクのようなパターンが形成されることがあります。
- 痛みまたは不快感: イボには通常痛みはありませんが、足の裏など圧迫される部位にできると、痛みや不快感を引き起こす可能性があります。
- 出血: イボを摘んだり傷つけたりすると、出血する可能性があります。
イボの予防法とは?
イボを予防するには、HPVへの曝露を最小限に抑え、皮ふの衛生を良好に保つことが必要です。効果的な予防策は次のとおりです。
- 直接接触を避ける: 自分自身や他人のイボに触れないようにしてください。イボは直接接触することで広がる可能性があります。
- 衛生状態を維持: イボや汚染されている可能性のあるものに触れた後は、手を洗ってください。
- 私物を使用してください: タオル、かみそり、靴下、靴などの私物を他の人と共有しないでください。HPVはこれらの物体を介して感染する可能性があります。
- 皮ふをキズのない状態に保つ: 皮ふのキズがHPVの侵入口となる可能性があるため、ささくれをほじったり、爪を噛んだりしないようにしてください。
- 足を保護する: 皮ふの表面からHPVとの接触を防ぐために、共用シャワー、ロッカールーム、スイミングプールの周囲ではビーチサンダルまたはウォーターシューズを着用してください。
- 肌に潤いを与える: HPVの侵入につながるひび割れや乾燥を防ぐために、皮ふの潤いを保ちます。
- 爪を噛まないように: 爪を噛むと小さな切りキズや擦りキズが生じ、HPVが感染しやすくなります。
- 迅速な治療: ウイルスが体の他の皮ふや他の人に広がる可能性を減らすために、現在できているイボをできるだけ早く治療してください。
- 免疫システムの強化: バランスの取れた食事、定期的な運動、十分な睡眠で健康的なライフスタイルを維持し、免疫システムを強化します。
イボの治療法について
皮フ科のクリニックでは、イボの治療は、疣贅の大きさ、数、位置、持続性に応じてさまざまな方法で行われます。一般的な治療法には次のようなものがあります。
- 凍結療法: これは最も一般的な治療法で、液体窒素を使用してイボを凍らせます。イボがなくなるまで、この治療を1~3週間ごとに繰り返す必要がある場合があります。
- サリチル酸: サリチル酸をイボに直接塗布する局所治療。この治療法は、市販薬として販売されており、感染した皮ふを剥がすのに役立ちます。
- ヨクイニンの内服: 漢方薬のヨクイニンは、イボに対しての効能が認められており、保険診療で処方ができる薬剤です。比較的長期の内服が必要な場合もあります。
その他、さまざまな治療法がありますが、各治療法には利点と副作用があります。治療法の選択は、個々の患者さんの状況と医師の判断によって異なります。