薬疹
薬疹とは、どういう病気?
薬疹は、特定の薬がからだに入ったときに発症する皮ふの病気です。発疹、水ぶくれ、じんましんなど、さまざまな皮ふの変化として現れます。薬疹は、軽いものから生命を脅かすものまでさまざまで、症状は薬を服用した直後または数週間後、あるいは長くたってから現れることがあります。薬疹を起こす可能性のある薬として、抗菌薬、抗てんかん薬、非ステロイド性抗炎症薬 (NSAID) などがあります。薬疹が疑われる場合は原因を特定し、投薬を中止する必要があります。そのため、必ず医師の診察を受けることが重要です。
薬疹になりやすい人は?
薬疹はアレルギー反応として誰にでも発生する可能性がありますが、この病気の発症リスクを高める要因として、一部の人は、以下の理由により薬疹を起こしやすい可能性があります。
- 薬疹の既往歴: 過去に薬疹を経験したことがある場合は、将来再び薬疹を発症する可能性が高くなります。
- 年齢: 薬疹はどの年齢でも発生しますが、高齢者は重い薬疹(スティーブンス・ジョンソン症候群や中毒性表皮壊死症)になりやすい傾向にあります。
- 特定の病気: HIV、エリテマトーデス、C型肝炎などの特定の病気を持つ人は、薬疹を起こしやすい傾向にあります。
- 特定の薬: 特定の薬は、他の薬よりも薬疹を起こす可能性が高くなります。 たとえば、抗菌薬、抗けいれん薬、および 非ステロイド性抗炎症薬 (NSAID) は、薬疹を起こしやすい薬剤です。
- 遺伝的要因: 一部の人は薬物に反応しやすい遺伝的素因を持っている可能性があり、薬疹を発症するリスクがあります。
薬疹の症状とは?
薬疹では、さまざまな症状がみられますが、一般的には次のような症状になります。
- 皮ふの発疹: 皮ふの発疹は、赤く、かゆみがあります。じんましんに似た発疹ができることもあります。
- 水疱: 一部の薬疹では、皮ふに水ぶくれができる可能性があります。 水ぶくれの大きさは小さいものから、大きく広がる場合もあります。中身は透明または濁った液体です。
- 腫れ: 腫れは、顔、唇、舌、喉など、体のさまざまな部分に発生する可能性があります。
- かゆみ: かゆみは、軽いものから非常に強い場合まであります。かゆみにヒリヒリした灼熱感を伴うこともあります。
- 発熱: 一部の薬疹では発熱を伴うことがあり、通常は微熱程度ですが、ときには高熱になることもあります。
- 関節痛: 関節痛はあまり一般的な症状ではありませんが、発生する可能性があります。
- 呼吸器症状: 薬疹に伴って咳、喘鳴、息切れなどの呼吸器症状がでることがあります。
薬疹の予防法とは?
処方された薬を服用しているうちに薬疹が発生する可能性があるため、薬疹の予防は困難な場合があります。ただし、薬疹を発症するリスクを最小限に抑えるための方法があります。
- 薬のアレルギーについて担当医に知らせる: クリニックや病院を受診するときに、過去に薬でアレルギーや副作用が起こったことを必ず申告してください。
- 薬の指示に注意深く従ってください: 飲み薬は、処方の指示通り服用してください。
- 同時に複数の薬を服用するときの注意点: 同時に複数の薬を服用するときは、薬物相互作用によって薬疹を起こすリスクが高くなります。服用しているすべての薬とサプリメントについて、必ず担当医に知らせてください。
- 新しい薬を開始するときは注意してください。新しい薬を開始するときは、皮ふの変化やその他の症状に細心の注意を払い、変化がある場合は担当医に報告してください。
- 定期的な健康診断を受ける: 定期的な健康診断は、薬疹の早期発見に役立ちます。
- 不必要な薬を避ける: 担当医によって処方される必要な薬のみを服用してください。
- 発疹、水ぶくれ、腫れなどの薬疹の症状が現れた場合は、直ちに医師の診察を受けてください。
薬疹の治療法について
薬疹の治療は、発疹の程度と種類によって異なります。ほとんどの場合、薬疹を治療する最初のステップは、原因となっている薬を特定して中止することです。症状が軽い場合、かゆみや炎症を軽くするために、コルチコステロイドの塗り薬などで治療します。症状がより深刻な場合、かゆみや腫れを軽減するために抗ヒスタミン薬、コルチコステロイドなどの飲み薬を併用します。薬疹が広範囲の皮ふの損傷を起こしている場合、入院での治療が必要になります。治療にはコルチコステロイドなどの静脈内投与などが行われます。
薬疹が疑われたり症状が現れた場合は、できるだけ早く皮フ科で診察を受けてください。